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更新日:2017年1月4日

ふるさと倉吉の復興を

 新年明けましておめでとうございます。
 いつものように市役所近くの賀茂神社に初詣に行きましたが、灯籠や玉垣が崩れ、鳥取中部地震の被害の大きさを物語っていました。地震からの一日も早い復興と今年一年の平穏な生活をお祈りいたしました。
 また、全国からも多くの支援をいただき、たいへん感謝申し上げます。
 今年は酉(とり)年です。この字は、もともとは酒つぼを意味し、収穫した果実から酒を作るということ、また収穫できる状態であることから「実る」ということも表すそうです。本年も多くの事業に取り組みますが、実りの多い年でありますようによろしく御願いします。

 まず、鳥取中部地震による 教育施設の復旧・復興事業 に取り組みます。
平成28年末現在で、小中学校18校の復旧事業費が約1億6,900万円、公民館13館で約5,800万円、社会体育施設約1億9,600万円、学校給食センター約8,000万円、博物館約7,700万円など、現在の事業費で約8億2千万円。1月補正予算で学校体育館等、陥没した陸上競技場の改修費等を要求し、平成29年度当初予算では伝統的建造物郡保存地区の補修費などを要求しますが、教育委員会だけでも10数億円になる見込みです。
 倉吉市全体の復興事業費は、現在約41億円を予算化していますが、詳細な工事費を積算していけばさらに多くなります。財政調整基金15億円のうち13億円を取り崩して復旧復興事業費に充てていますが、とても足りません。後は国の補助金と起債となり、後年度に市民への負担が重くのしかかってきます。
 こうした状況の中で、事業を精査しながら必要な復旧・復興のための事業を実施していきます。

 次に、地域の活性化に取り組みます。
 倉吉市教育振興基本計画では、「行きたい学校・帰りたい家庭・住みたい地域」をスローガンとして、 地域の次世代育成 を大きな柱としてあげています。地域の歴史・文化財・自然等について体験を通して学ぶとともに、地域の様々な人々との地域交流・世代間交流で地域愛を育み、次世代の育成につなげようとするものです。この度の地震によって、地域の結びつきをより強く感じられたことと思いますが、地域づくりがより必要だと思います。
 具体的に、地域から学校への支援活動例として、学校支援ボランティア登録数は1,659人、延べ活動人数約3万人、ふるさと学習や総合的な学習のゲストティーチャーや支援活動、公民館事業「夏休み宿題片づけ隊での高校生ボランティア、セカンドスクール・キャンプ等宿泊活動の指導など、多くの人に関わっていただいています。反対に児童生徒の地域貢献活動として、菜の花プロジェクト18校 地域清掃活動、竹林伐採活動、給食配食ボランティア、地区公民館運動会等役員などに取組、地域の一員として活動し、地域からも生徒たちの活動が認められてきています。ずいぶんと増えてきましたが、まだその活動の内容や方法に工夫の余地があります。
 地域の中で生きる次世代を育成していくための具体的なプログラムを、地区公民館・自治公民館協議会・青少年育成協議会・社会福祉協議会等の地域住民が作成し、実践的な活動を推進したいと考えます。各地区で開催されている「教育を考える会」に出席し、地域の次世代育成のための議論を積み重ねていくことだと思います。また、そのために必要な様々な資料や教材づくりについて、生涯学習課・文化財課・博物館・図書館をご活用ください。

 1月3日は 倉吉市成人式 でした。地震のために成人式の開催も危ぶまれたのですが、鳥取県の努力で修理工事が間に合った倉吉体育文化会館で行いました。市議会・県議会の議員、各自治公民館・地区公民館長、民生委員、保育園・幼稚園長、小・中・高校の校長先生他、多くの来賓と保護者の皆様の御臨席をいただき、492人の新たな成人をお祝いしました。
 定着した新成人の実行委員会による開催。地震からの復興を誓う挨拶も多くありました。新成人代表は「倉吉のために何ができるかを考え生きていきたい」と抱負を語りました。なんといっても、参加者全員で歌った「 ふるさと 」が強く心に残りました。美しいふるさとの風景、地震の被害に遭った様子、懸命に働くボランティアの姿、みんなで歌った「ふるさと」に目頭を押さえる姿も多くありました。

 私たちのふるさとを持続可能な都市としていくためには、たいへん厳しい財政の中で選択と集中が必要だと思います。大きな地震被害に遭った倉吉市は、「あれもこれも」という予算は組めません。事業内容を精査して「あれか、これか」という選択をしなければなりません。選択する上では、その分野の「発展性」、「競争力」、「他分野への波及効果」の3点を基準に決定することが大切であり、集中する事業を考える際には、全体としての方向性をはっきり打ち出すことが重要となると言われています。復興計画を推進するために、今こそ、倉吉市全体を見渡す立場から「倉吉市教育振興基本計画」、「倉吉市立小学校適正配置推進計画」等を考え、何を選び、何を捨てるのかを選択することが必要になるのだと思います。

 さて、耐震化のため建替工事をしていた新しい成徳小学校の校舎が姿を現しました。現在内装工事を進めていますが、2月には新校舎に入ることになります。明治時代に建築された「白亜の学び舎」が時代の流れに合わせて再現され、復興のシンボルのように感じました。また、明倫小学校も新たに補強改修した校舎に引っ越しをします。明倫小学校の児童が、この地震の体験を「 地震が私に教えてくれたこと」という作文 にまとめています。何事も前向きに考えたいと述べた言葉にたくましさを感じます。
 「鶏鳴三声」の故事によれば、「鶏」は、天照大御神がお隠れになった天の岩屋戸の前で鳴声をあげて大御神を迎え出し、闇を払い再び光(太陽)を取り戻したということです。この故事に習って、倉吉が再び「くらしよし」と言われるふるさとであるように、高らかに復興の声を告げ、新たな倉吉の歴史を作っていく年となるよう祈ります。

平成29年1月4日

倉吉市教育委員会教育長 福井伸一郎

倉吉市立成徳小学校

成徳写真.jpg