緊急情報

緊急情報・注意喚起

  • ただいま緊急災害情報はありません。

閲覧補助support

自動翻訳

色変更

文字サイズ

 
更新日:2017年11月1日

「厳しさ」を考える

 我々の父親世代は戦後の廃墟からこの国を立ち直らせ、高度成長時代はがむしゃらに働き、私たちの生活を支えかつ豊かにしてきました。しかしその跡を継いだ私たち世代は、残念ながら前の世代が血みどろで築いたその豊かさに甘んじ、かなりの部分を食いつぶしてしまったところも少なくないと思います。道楽息子のようなものだと言う人もいます。
 前世代と我々が大きく違うのは『厳しさ』です。前世代は自分や家族を食べさせるのに必死だった。頑張らなければ食べられなかった。結果を出すことが必要だった。いわゆる努力賞では食べられなかったということです。貧しくなれば厳しさを生み出すかもしれないがこれは本末転倒です。そういった意味で「行きつくところまでいかないと世の中は変わらない」という議論もありますが、それもナンセンスな意見だと思います。
 人の能力を高め、それを十分に出してもらうことは個人レベルの話に思えますが、国家レベルでも重要な問題です。「本来、人が持っている能力にそう大きな差はないが、技術的にも精神的にも鍛えられ方に大きな差があるのでは・・・」と感じます。鍛えられていない人が多いということは地域にとっても不幸なことでありますが県・国レベルでも大きな損失となります。
 日本は短期的にも中・長期的にも大きな危機を迎えています。短期的には財政の破綻寸前ですし、中・長期的には国際競争力低下の歯止め・少子高齢化を乗り切らなければなりません。こうした状況の中、倉吉が活力を持つためには「私たちが倉吉を支えている」のだという気概を持つことが重要です。政策が十分でないことも明らかですが、それをぼやく前に私たちが十分な対応を行っているかどうかの反省も必要です。何事も他者のせいにしていたのでは問題は解決しません。
 日本も倉吉市も戦後のシステムが以前ほど十分機能しなくなっています。右肩上がりを前提として出来上がった仕組ではやっていけないのでしょう。行政も経済も地域も制度疲労を起こし、抜本的な構造変化が求められていると感じます。
 平成22年から倉吉市の教育委員を任ぜられて以来、倉吉市教育の充実のために議論してきましたが、私たち教育委員は、こうした時代の大きな変化に対して「倉吉の教育」をどうしていくのか、市民に提案をしなければなりません。それが「倉吉市教育振興基本計画」であり、その中の一つとして「学校適正配置」があります。
 このたびの学校適正配置は、変わることが目的ではなく子供たちが幸せになるためのひとつの手段です。行きつくところまで行ってしまっては未来を担う子供たちや地域が不幸になるからよくないのです。
 「手段を目的化するという愚を犯してはならないのではないか」と。この倉吉を豊かにし、その豊かさを子供たちに引き継ぐのが我々の役割です。食べるのに困らない人が多いのに、自分のことだけに汲々としているのはどうしてでしょうか。
 鳥取県中部地震という現実を突きつけられた倉吉市です。今一度自分自身に厳しくなって、倉吉市を発展させようとする気概を持つべきではないでしょうか。
 21世紀に生きる我々の子供たちが幸せであることを祈って。

 平成29年11月1日

倉吉市教育委員会教育長職務代理 宮近 誠