教育長エッセイ「未来を現実へ ~第二期倉吉市教育振興基本計画の策定を目指して~」
未来を現実へ ~第二期倉吉市教育振興基本計画の策定を目指して~
未来を現実へ
~第二期倉吉市教育振興基本計画の策定を目指して~
新年明けましておめでとうございます。
年末に突然の衆議院解散による選挙があり、なにやらバタバタとしたまま年を越した気がします。
「去年(こぞ)今年(ことし)貫く棒の如きもの」 高浜虚子
有名な句です。去年と今年の間には、年があらたまっても一本の「棒の如きもの」が貫通しているという句意でしょうか。時は移り変わっても、その中に変わらないものがあるのではないかと言うのです。それが何なのか虚子翁は述べていませんが、新しい年を迎え倉吉市の教育について考えて見たいと思います。
倉吉市では、平成22年から平成47年の25年間で25%(約13000人)の人口減少と27%から36.4%へと高齢化率の増加が予測されています。こうした少子高齢化する社会、やむを得ず縮小していく社会に対応するため、地域や行政が『賢く縮み』、次世代の発展につなげることを模索しています。具体的には、「倉吉未来いきいき創生本部」を立ち上げ、「人口保持、経済の成長・発展、人の活躍、地域づくり、信頼の行政」の5つの基本目標とそれぞれ部会に分かれて協議をしています。教育に関するテーマとして、「人の活躍」部会では、「少子化対応や移住促進につながる教育の質的充実と小・中学校の適正配置」、「地域づくり」部会では、「地域を支えるリーダー育成や団体の連携」に取り組んでいきます。
倉吉市教育委員会は、平成24年2月に、学校・学級の適正規模、校区の再編を含めた校区のあり方について審議した学校教育審議会から「倉吉市立小・中学校の適正配置等について」の答申を受けました。適正規模を一学級あたり20人~35人として、120人以下の学校についてどのような統合の形があるのかを示しています。その答申を各小学校区で説明いたしました。
平成25年3月には、皆様からのご意見を参考にして、「倉吉市立小・中学校の適正配置の具体案【草案】」を提案し、それについて中学校区と該当小学校区で説明会を開催してきました。そして、平成26年は小学校PTAを中心に5ブロックで協議を進めてきました。
平成26年11月22日(土)には第3回の市民シンポジウムを開催しました。
琴浦町教育委員会前教育長永田武氏の「琴浦町の学校統合の取り組み」講演のあと、シンポジストに、地区自治公民館協議会長、地区公民館長、地区小学校再編問題協議会長、倉吉市小学校PTA連合会長、小学校PTA会長を迎え、それぞれの意見を述べてもらいました。学校統合を推進していくべきだという考え、推進は反対という考えがありました。
この問題は、避けて通ることのできない問題です。市民の皆様のご理解とご協力により、倉吉の子ども達の未来を拓いていきたいと思います。
3日は、倉吉市成人式を倉吉未来中心大ホールにおいて行いました。市議会・県議会の議員、各自治公民館・地区公民館長、民生委員、保育園・幼稚園長、小・中・高校の校長、鳥取短大学長他、多くの来賓と保護者の御臨席をいただき、540人の新たな成人をお祝いしました。実行委員会では、「子どもからの卒業式・大人へ入学式」と位置づけて、中学校の恩師から「成人証書」を受け取りました。吉兆の雪の中、未来の倉吉を切り拓いていく成人式となりました。中学生ボランティア27名も参加しています。
今年は未(ひつじ)年。「未」は象形文字で木の枝葉の茂った様を表していますが、その行為・経験・状態などが、まだ熟していないことをあらわす文字だそうです。未来は、まさに、いまだ来ず。しかし、未来は必ず現在となります。少子高齢化する倉吉市の社会にどう対処するのか、「倉吉未来いきいき創生本部」の果たすべき使命は大きいと思います。それと連動して、第二期倉吉市教育振興基本計画(平成28年~32年)という重要な計画を策定する年としていきます。
平成27年1月5日
倉吉市教育委員会教育長 福井伸一郎