教育長エッセイ「平成27年度の始めにあたって 未来予想図を描く」
平成27年度の始めにあたって 未来予想図を描く
平成27年度の始めにあたって
未来予想図を描く
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このところの陽気で桜の花が一気に咲き始めました。倉吉春まつりのぼんぼりも点灯され、春の宵の華やかな雰囲気となっています。桜を詠った詩歌はたくさんありますが、松尾芭蕉の句を紹介します。
「さまざまなこと思ひ出す桜かな」
今日から平成27年度の始まりです。教育委員会制度が一部変わり、市長と教育委員会とで教育行政の大綱を策定するなど「教育総合会議」を開催することとなります。倉吉市教育委員では、従来市長との意見交換会を年2回開催しており、「倉吉市の教育方針と重点施策」や「教育行政の点検及び評価」、学校適正配置、いじめ問題、土曜授業などについて話し合ってきましたので、「教育総合会議」へスムーズに移行することができます。
本年は、第1期倉吉市教育振興基本計画(平成23~27年)の最終年度でもあり、「行きたい学校・帰りたい家庭・住みたい地域」をめざして取り組んできたことの集大成として「平成27年度 倉吉市の教育方針と重点施策」を定め、心新たに取り組んでまいります。
教育環境の整備充実では、学校耐震化事業として、灘手小・上小鴨小・上灘小・明倫小の耐震工事、成徳小教室棟の建替、上灘小体育館の建替、そして、西中・久米中武道館の耐震工事をします。また、体育館の天井落下物防止工事を行います。これにより、倉吉市のすべての小中学校の耐震化が完了します。
学校教育では、昨年から始めた土曜授業を年5回、小中学校で実施します。各地域の皆様の協力をいただきながら、地域の人・もの・ことがらに触れる教育活動をいっそう推進していきます。また、学力向上をめざし、「わかる授業のための授業改善」を研究するとともに、すべての中学校区で小・中学校の連携を深めます。そして、「豊かな心とたくましい体の育成」をめざして、いじめや問題行動の防止・不登校対策のためにスクールカウンセラー等相談体制の充実を図ります。
社会教育では、公民館、博物館、図書館、文化財課の機能を活用し、いつでも・どこでも・だれでも・ともに学び楽しむことのできるよう取り組みます。生涯学習では、鳥取短期大学のみならず、新たに開学した鳥取看護大学と連携した市民の健康づくりのための事業に取り組みます。また、平成28年度全国高校総体自転車競技が倉吉市で実施されます。そのため倉吉市実行委員会の設立と開催準備のため準備室を設置します。
博物館は、前期では、若い世代・親子を対象とした「くまのがっこう絵本原画展」「舘野 鴻絵本原画展」を企画しています。後期は耐震化工事のため休館しますが、出前講座など取り組んでまいります。
第3回「山上憶良短歌賞」伯耆の国守として倉吉に赴任した山上憶良を記念して創設しましたが、鳥取県内からの応募も増え、小・中・高校生・一般の部で合計1622首の応募がありました。小・中学生の部で憶良賞に選ばれた短歌を紹介します。
美容師の母が笑顔で奏でてるシャキシャキその音いつか私も (小学生の部 6年生)
「またきない」窓からのぞくおばあちゃんいつもやさしい煮物のにおい (中学生の部 2年生)
朗読ボランティアグループ「やまびこ」や鳥取県短歌歌人会の皆様など、市民の皆様の力で作り上げた短歌大会です。山上憶良が伯耆国にやってきたのは716年。来年は1300年になりますので、是非「因幡の家持、伯耆の憶良」で全国大会に発展させたいものです。
倉吉市では、平成47年の将来人口が38,000人と予測されています。こうした少子化する社会に対応するため、「倉吉未来いきいき創生本部」を立ち上げ、次世代につなげるための協議をしています。学校教育の場面では、「少子化対応や移住促進につながる教育の質的充実と適正配置」に取り組んでいます。平成24年度に発表した「倉吉市立小・中学校の適正配置等について」、平成25年度に提案した「倉吉市立小・中学校の適正配置の具体案【草案】」について、その具体化を図らねばなりません。
教育委員会事務局内に設置する学校統合準備室では、関金・山守小学校統合準備委員会の支援をするとともに、倉吉市全体の計画を推進していきます。関金・山守小学校統合準備委員会は2月3日に設置され、通学方法の検討、PTA組織の検討、学校の教育課程の検討、そして、何よりも新しい学校の校名の選定方法が議論されています。校名については、同校区の住民を対象に4月1日~30日まで募集しており、新しい学校づくりへ一歩踏み出しました。
少子高齢化する倉吉市の社会の中で、市民の皆様の議論を未来予想図である第2期倉吉市教育振興基本計画につなげ、持続可能な教育を進めていくために「先を見据えた決断」をしていかねばならないと思います。一年一度の桜の開花と同じように、年度初めに計画を定め事業に取り組むのですが、いつの日かその取り組みを振り返った時、冒頭の芭蕉の句が思い起こされることでしょう。
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平成27年4月1日
倉吉市教育委員会教育長 福井伸一郎
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