2012年8月取材
末兼 弘章さん・多栄子さんの画像

 

末兼 弘章さん・多栄子さん
  • 移住前のご住所…広島県
  • 移住日…2008年10月(当時、弘章さんは35歳)
  • 現在のお仕事…農家

 

移住前はどのような生活でしたか?

広島で営業の仕事をしていました。
 

移住を考え始めたきっかけは?

毎日、朝早くから終電時間まで働き、毎週のように休日出勤。サラリーマン生活が嫌になり、会社を辞めようと考え始めていました。そんな時、疲れきった私を心配した多栄子さん(倉吉市出身)から倉吉への移住を提案されました。
 

農業を選んだ理由は?

農業は全くの初めてでしたが、自営業というところに魅力を感じました。多栄子さんの実家が倉吉で農業をしており、畑、トラクター、住む家とすべての条件が整っていましたし、他に選択肢が無かったともいえますね。多栄子さんの実家に入れるお金も含めて、無収入でも1年間は生活できる目処もついていました。
 

就農までの流れを教えてください。

2008年8月、家族より一足先に移住し義理の母から農業を教わりました。2009年1月からは、県立農業大学校の6ヶ月コースで、農業に関する基礎知識と播種から収穫までの全栽培期間を通した、作目ごとの基本技術を実習と講義で学びました。
最初は、ほうれん草の種蒔からはじめました。ハウス4棟から始め、現在は、140アール(1アールは100平方メートル)の畑で、プリンスメロン、スイカ、中玉トマト、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー(水菜、バジル)を作っています。
農業でやっていけると確信したのは2010年の年末。その年の12月には、新規就農者の申請をしました。
現在耕作する140アールの土地の半分は、地域の人、知り合いに借りています。義理の母の人脈と、移住後、自分で作り上げてきた交友関係が役に立っています。
 

倉吉ではどのような暮らしをされていますか?

移住後は、土地のルールに全て従おうと思っていました。全ての行事に参加し、何かあればとにかく顔を出していました。地元の消防団に入り、農協の青年部に加入、公設の消防団にも入っています。農業は孤独な作業なので、こういった形で仲間を作ってきて良かったと思っています。

ストレス解消のためだったお酒が、今では仲間との語らいの場に
農協青年部のスイカ農家には同世代や若手が多く、彼らからもっと清算して稼ぐように言われています。仲間とはお互い切磋琢磨し合っています。
サラリーマン時代はストレス解消のためにお酒を飲んでいましたが、今は仲間と畑や栽培のことを語り合いながら飲んでいるので楽しいですね。
 

お子様たちの反応はいかがでしたか?

カブトムシ、ザリガニ。
広島では買わないといけなかったものが、倉吉には普通にありました。
移住したとき、長男は小学2年生、長女は2歳でした。
最初、移住の話をしたときは、友達と離れるのが寂しくて嫌がっていましたが、移住後半年でこちらの生活にすっかり慣れてしまっていました。
今、子どもたちはカブトムシやクワガタ、近くの河川公園の池で魚やザリガニをとって遊んでいます。広島では買わないといけなかったものが、倉吉には普通にありました。
 

倉吉での暮らしで困ったこと、不便なことはありますか?

家族と一緒にご飯を食べられて幸せ。
作物以外のことで悩むことはないですね。
農業はやればやるほど、また、やり方次第で儲かります。自分の時間が自由に使えて、今は家族と一緒にご飯が食べられて幸せです。このシーズンに休みたいと思ったら、植える作物を調整すればいいんです。
 

倉吉はいかがですか?

倉吉は人が温かいし、人から色々声をかけてもらったり、誘ったりされる。今は、素直に移住してよかったと思っています。夏は広島より暑く、冬は雪が想像以上に降るのが予想外でした。温泉が大好きなので、車で20分ほど行けば色々な温泉に入れるのも楽しみです。
 

 

これからの目標は?

目標は消費税が納められるだけの収入です。
自分がサラリーマンだった場合の年収を月収換算し、毎年目標を立てて生活設計をしています。今年の目標は「消費税を納められるだけの収入を得ること。(1000万円以上)」としましたが、今のところ達成はかなり難しいと思っています。
これからは、手を広げた土地の管理を効率よくしていきたいですね。今は、色々と間に合っていないことがあり、全部を処理できていないですから。
 

移住を考えている方にメッセージをお願いします。

地域のつながりと家族の協力が大切です。
地方では総事(地域の活動・行事)が必ずあります。それが煩わしいと考えていたら、田舎への移住は難しいかもしれません。
こちらでは葬儀が多いし、その度に地域の班が協力して行っています。地域のつながりは生活していく上で重要です。つながりがあって、畑も貸してもらっています。
そして、移住は夫婦の足並みが揃っていたのでできたことだと思うので、家族の協力も大切ですね。