新しい年を迎えて
新年、明けましておめでとうございます。大きな事故も災害も無く、つつがなく元旦を迎えることができました。と、 思っていたところ、6日になって島根県東部を震源とする地震(震度5強)が発生し、倉吉も震度4を記録しました。約10年前の鳥取中部地震(震度6弱)を思い起こす久しぶりの大きな揺れで、すっかり地震の記憶が体から抜けていた無防備ななかで襲われました。施設や収蔵品等に被害は全くありませんでしたが、改めて突然やってくる地震の恐ろしさを再認識しました。
元日の朝は、うっすらと雪が積もっていたのでこの歌が頭に浮かびました。
「新しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重け吉事」
万葉歌人 大伴家持の歌です。元旦の祝宴の席で因幡国守である家持がしんしんと降り積もっていく雪に「吉なる良き事が重なっていきますように」と、願いを込めました。『万葉集』約4500首の最後を飾る歌です。
大伴家持は天皇に仕える役人で、歌を詠むのは趣味などではなく仕事でした。どういうタイミングで天皇に向けて歌を詠むか。歌は出世のツールでもありました。家持が越中国守の時、国内で初めて陸奥国から黄金が見つかりました。家持はすかさず天皇に対し「黄金が見つかったのは、天皇の徳が高いからです。」と歌を献上します。都から遠く離れた家持自身をアピールし、2年後には少納言に昇進して都に帰ることが出来ました。歌の力です。
天皇に歌を献上する伝統は、年始に宮中で毎年行われる「歌会始めの儀」に引き継がれています。今年1月14日に開催される歌会始めの儀のお題は「明」。天皇皇后両陛下はじめ皇族方の歌に加え、一般の方、10人の歌も紹介されます、最年少は、新潟の男子高校生です。男子生徒が通うこの高校は、倉吉市が主催している山上憶良短歌賞に毎年のように優秀賞を受賞する強豪校です。
「歌会始めの儀」では、1年前に示されたお題にそって折々の事象を歌い込んで1年を回想します。昨年の事柄がどのように歌に込められたのか楽しみです。