今上陛下7代前の光格天皇の事績とその生母大江磐代君を顕彰する企画展を開催
5月1日に令和の時代がはじまり約半年が経ちました。10月22日には新天皇の即位礼正殿の儀が皇居松の間で厳かに執り行われ、玉座の高御座や皇后陛下の十二単装束など日本の歴史の奥深さにも触れることができました。
国王や元首など190ヶ国以上にものぼる国々から賓客が参列されて儀式を目の当たりにし、悠久の日本文化を体感されたことと思います。この時ほど、日本の国を誇らしく感じたのは私だけでは ないでしょう。
この即位礼正殿の儀の佳き日にあわせて、倉吉博物館において天皇陛下御即位記念展が開幕しました。 上皇になられた明仁天皇が譲位の際に先例とされた第119代光格天皇とその生母で倉吉出身の大江磐代君(おおえいわしろぎみ)を紹介する企画展です。
大江磐代君は9歳の若さで父と京都に上り、閑院宮(かんいんのみや)家で奉公します。宮家の親王との間に5男をもうけ、長男が後の光格天皇となります。江戸幕府によって縮小化や廃止されていた儀式や神事を再興して朝廷の権威を復権した天皇でした。天皇即位後初めての収穫の祭大嘗祭(だいじょうさい)も復活されました。
光格天皇は、閑院宮家から皇位を継承し、天皇のあるべき姿を追求して勉学に励みます。この宮家 出身という傍系意識は、強い君主像を求めて江戸幕府と相対します。そして、光格天皇の強い皇統 意識は、仁孝天皇、孝明天皇へと引き継がれ、曾孫の明治天皇によって明治維新へと結実していきます。
企画展では、大江磐代君の書状から篤い孝行心を読み取っていただくとともに光格天皇の事績に触れることで、今につながる数多くの業績を残された天皇であることを知っていただきたいと思います。
令和の時代の幕開けを寿ぐとともに、皇室と倉吉とのつながりに思いを馳せていただければ幸いです。
館長 根鈴輝雄