8月に入って、35度を超す猛暑日が続いています。
曇天イメージの強い山陰・鳥取にも連日強い日差しが降り注ぎ全国ニュースでも取り上げられるほどです。
昨年4月に就任した新米館長も、2年目に入ってようやく館長通信を配信する ことができるようになりました。期間限定。いや季刊で、思いつくままに当館の ことをエッセイ風に綴っていこうと思います。
今年になって京都通いが続いています。お寺通いです。聖護院様、廬山寺様、 泉涌寺様、そして大聖寺様。特に聖護院様と廬山寺様には何度もお伺いし、ご迷惑をお掛けしています。
お寺通いの目的は、今秋開催予定の当館特別展「大江磐代君顕彰展」の準備の ためです。大江磐代君は、倉吉に生まれて京都にのぼり、閑院宮家に奉公して、 宮家当主である典仁親王の側室になられた方です。五人の王子を儲けられ、その長子は天皇となられました。この天皇は、今上天皇から遡ること6代前の第119代光格天皇のことです。つまり、大江磐代君は、天皇のご生母なのです。
今年は、大江磐代君がお亡くなりになってちょうど200年の節目にあたることから、この郷土の先人を、広く市民に伝えようと今年10月顕彰展を開催することとしました。
当館では、大江磐代君の消息(手紙)を数通、収蔵しています。 今から200数十年前の手紙です。考古学専門の私には解読できないのですが、 幸いなことに郷土の偉大な歴史家による読み下し文があり、この手紙から、 大江磐代君の暮らしぶりや心配ごとなどを知ることができます。
京都に通っているのは、この手紙の内容を大江磐代君ゆかりの寺院に伝わる文書資料で確認するためです。今回の特別展で扱う時代は、もちろん大江磐代君が生活された江戸時代後期。しかし、当館には近世史の専門家がおらず、原資料を扱うことが不得手です。通常、博物館での展覧会は、様々な分野の専門学芸員が その専門性を活かして調査研究を行い、公開発表にいたるものですが、 今回の特別展では、専門職員の不在を外部からの優秀な調査委員の力で補い、 調査研究を主体に進めてその成果を公表していこうと考えています。 当館内の担当は、専門学芸員がいないものですから、特定の事業を受け持っていない館長である私が担当者になって進めています。
来週(8月6日)から、また京都へ行きます。今年5回目です。ご借用させていただく御品の写真撮影です。京都の夏、お寺のお堂の中、とっても楽しみです。展覧会の内容は、まだ骨格が決まっているだけですが、 来月には形を整えていきたいと思います。
京都では、今年もう一つの特別展「第8回菅楯彦大賞展」のオープニングも行います。こちらは、京都府京都文化博物館(中京区高倉通三条上ル)で8月7日~12までの開催です。9月には倉吉で開催します。
次回は、大江磐代君顕彰展の中身についてお伝えします。
館長 根鈴輝雄