館長コラム (12)(2017.4)

 倉吉博物館が所在する打吹(うつぶき)公園の桜。今年は例年に比べ少し開花が遅れましたが、 花芽はしっかりと膨らみ、陽気に誘われていっきに咲きそうです。今年、大雪に見舞われた倉吉ですが、雪の重みに身をすくめていた桜木は、春を感じて花を咲かせようとしています。

 必ずやって来る春、いつも迷うことなく決まって咲く、桜。昨年10月に発生した地震や大雪の試練に耐えた私たち市民を癒してくれます。

 4月の華やぐ季節は、別れと出会いが訪れる時期でもあります。倉吉博物館も平成29年度を迎えて新体制がスタートしました。若手もベテラン職員も、それぞれの持ち場で役割を自覚して、新た な気持ちで仕事に臨んでいきたいと思います。

 新年度を迎えて「よし、やるぞ!」と意気込んでみたものの、現在、倉吉博物館は昨年10月の鳥 取県中部地震により被災して休館中です。

 今年はまず、地震被害からの復旧と復興が大きな課題です。7月末までの予定で全面休館させ ていただき、館内外の災害復旧工事を進めます。ちょうど1年前に半年休館して平成28年3月に耐震補強工事を終えたばかりでしたが、再び休館をしなくてはならない状況となりました。春恒例の特別展を中止せざるを得なく、春の賑わいに一役買うことが叶いません。楽しみにしておられた方には大変、ご不便をお掛けしますが、どうぞ、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

 今年7月には災害復旧工事を終え、8月から全面開館できるよう工事や諸準備を進めてまいります。開館再開の8月には、倉吉博物館の収蔵品展を開催します。地震被災で損壊し、その後修復した重要文化財の土器や額に損傷の見られた絵画資料など郷土倉吉のアイデンティティが詰まっ た倉吉博物館が誇る収蔵品の数々です。9月には例年5月に開催している鳥取県中部圏域の市民 作品展、倉吉市美術展覧会を予定しています。また、10月には木工や陶芸、絣など工芸品を中心とした企画展に取り組んでいこうと思います。

 倉吉博物館の全面再開が、地震で被災した倉吉の復興のシンボルとなるよう館員あげて取り組んでまいります。再開まで、どうぞしばらくお待ちいただきますようお願いいたします。

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館長 根鈴輝雄