博物館再開(常設展示)と令和2年度上半期の展示見直しについて
新型コロナウイルスの感染拡散防止のため、先月24日より3週間臨時休館していましたが、今月14日に発表された政府の緊急事態宣言の解除により、倉吉博物館も翌15日から再開館しました。
再開後は、所蔵品を中心とした遺跡出土品の考古部門と倉吉絣や郷土玩具などの民俗部門の常設展示を実施しています。美術部門は、本日19日(火曜日)より、前田寬治や中井金三といった郷土ゆかりの作家やトリエンナーレ美術賞の作品を展示します。
ここ十数年、毎年春の特別展は地元メディアと共催で様々な作品展を開催してきました。今年は、日本画界の重鎮 平山郁夫の生誕90年記念として佐川美術館(滋賀県)が所蔵する作品で構成した「平山郁夫が描く世界遺産展」でした。今月10日まで会期33日間を予定していましたが、会期途中の18日目から臨時休館する事態となりました。
連休明けに再開を目指したものの、5月5日の緊急事態宣言延長に伴って、とうとう再開できず、先週、作品を撤去したところです。前売券を買い求めて楽しみにしておられた方々には、大変申し訳ありません。いつの日かリベンジが出来たらと心に秘めています。
さて、倉吉博物館では、今年9月末までの展示計画を見直し、今月末から開催予定だった倉吉市美術展覧会、8月の夏休み自然科学展、そして、9月の特別展「第10回菅楯彦大賞展」の開催を中止もしくは延期としました。さらに、動植物や天体観測などの自然ウォッチング、そして地域の遺跡や遺産、偉人などを取り上げた倉吉博物館講座の開催も9月いっぱい見合わせています。美術愛好家の方や昆虫好きの自然愛好家、そして、地域の歴史や遺産に興味関心をお持ちの方々には、どうか、今しばらくお待ちいただきたいと思います。新型コロナウイルスが収束することを信じ、今は充電してエネルギーを貯めておきます。現在は、所蔵品を中心に常設展示を続けていますので、どうぞお立ち寄りください。
倉吉博物館のある隣り町、北栄町のみらい伝承館では、現在、元倉吉博物館長の前田明範さんの遺作展が開催されています。美術大学で洋画を専攻し、退職後に本格的に創作活動を続けてこられた作品34点が展示してあります。この企画展にあわせて、小生が元館長を語るというトークイベントが会期中に計画されましたが、展覧会そのものも一旦休止となってしまいました。そして連休明けに主催者から「無観客でやりたい」との申し出。心のなかで「えっっ!するの?」とつぶやきながら引き受けることとなりました。聴衆なしの番組収録です。「聴衆の反応が、話し手を育てる」と信じている小生ですが、元館長との出会いやエピソードをしっかり伝えようと思います。
「前田明範遺作展」は、北栄みらい伝承館(鳥取県東伯郡北栄町田井47-1)で5月24日までです。
館長 根鈴輝雄