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館長コラム(19)(2021.8)

 8月に開幕する2つの特別展
   「第10回菅楯彦大賞展」 そして「人間国宝・大坂弘道展」


7月上旬、倉吉市の上空に居座った線状降水帯からの豪雨は、観測史上最大の雨量に達し、市内至るところで土砂崩れがおきました。幸い人命に係る被害はありませんでしたが、床下浸水の家屋では、流入した土砂の後片付けで大変です。それから一週間経ち、豪雨一過の猛暑日が続いています。連日35度超えの酷暑です。事務室内のエアコンは調子が悪く、学芸員は額に流れる汗を拭いながら、8月21日に開幕する特別展の準備に追われています。
 「第10回菅楯彦大賞展」は、倉吉ゆかりの日本画家 菅楯彦の顕彰を目的として1989(平成元)年に創設した指名作家制のコンクール展です。1回から7回展までは3年おきに、8回目以降は4年おきに開催してきましたが、2020年実施予定であった第10回展は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、1年延期しました。今年8月21日から9月26日まで33日間開催します。今展は指名された36名から作品が出品され、7月11日に実施した審査会で大賞と佳作賞4点が決まりました(受賞作品をホームページで紹介しています)。出品作の多くには、作家自身がコロナと向き合った”暮らしの情景”が画面に表れています、展覧会の延期に伴って創作期間も延び、作家の暮らしにもコロナが大きく影を落としたことを物語っています。
 もう一つの特別展「人間国宝・大坂弘道展」は、倉吉市出身で鳥取県初の人間国宝(重要無形文化財[木工芸]保持者) 大坂弘道の最晩年の作品と図案や工具類など関連資料を中心に展示する展覧会です。東京学芸大学の金工を卒業後、独学で木工芸を修め、中学の美術教諭を務めながら、伝統工芸の技を磨いた大坂弘道。その精緻で揺るぎない技術を見込まれ、宮内庁より正倉院宝物の復元模造を委嘱されます。5年にわたる調査と研究を経て、見事に「紫檀木画箱」を完成させて宮内庁に納めました。この模造復元を機に大坂の作品は、ストーリー性を備えて装飾豊かに、華麗に変化を遂げます。正倉院宝物から学んだ様々な事柄を昇華し、他者の追随を許さない、精緻を極めたオリジナルな作品を次々と創作し、「大坂弘道の世界」が完成しました。大坂は2020年9月に亡くなりましたが、約50年にわたる創作活動を語る100点に及ぶ作品群が倉吉市に寄贈され、その活動の軌跡を辿ることができます。今展は、あわせて寄贈を受けた道具類や図案類、そして創作の元になった数多くの書籍類などを一堂に展覧します。また、東京都練馬区で創作を続けた工房も再現します。
 是非、多くの方に大坂弘道が築き上げた世界観に触れていただきたいと思います。


館長 根鈴輝雄

 

「第10回菅楯彦大賞展」 「人間国宝・大坂弘道展」
 令和3年8月21日(土曜日)~9月26日(日曜日) 休館日:8月23日、30、9月6日、13
    入館料:一般600円《2つの展覧会がご覧になれます》



お問い合わせ先

倉吉博物館・倉吉歴史民俗資料館

〒682-0824
鳥取県倉吉市仲ノ町3445-8
TEL: 0858-22-4409
FAX: 0858-22-4415

MAIL: k-museum@city.kurayoshi.lg.jp