「年収の壁」の見直しに関する税制改正

 物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整対策の観点から、給与所得控除の最低保障額の引上げ、同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額に係る要件等の引上げ、大学生年代の子等に係る新たな所得控除の創設等が行われることとなりました。
 改正は、令和7年中(令和7年1月1日から12月31日まで)の収入を基礎とする令和8年度の個人住民税から適用されます。

 なお、公的年金所得控除、市県民税における基礎控除、市県民税における非課税限度額は変更がありません。

 

給与所得控除の見直し

 給与所得控除額について、最低保障額が10万円引き上げられ、65万円(改正前:55万円)となりました。
 よって、給与収入が190万円以下の場合は、給与収入から65万円を差し引いた額が給与所得となります。(給与収入が190万円を超える場合の給与所得控除額は変更ありません。)

 

扶養親族等の所得要件の見直し

 各種控除等の適用要件である合計所得金額が10万円引き上げられます。

控除の種類 所得要件 改正前 改正後
配偶者控除、扶養控除 同一生計配偶者及び扶養親族の
合計所得金額
48万円 58万円
ひとり親控除 ひとり親が有する
生計を一にする子の総所得金額等
48万円 58万円
勤労学生控除 勤労学生の合計所得金額 75万円 85万円
家内労働者等の必要経費
の特例
必要経費に算入する金額の
最低保証額
55万円 65万円
雑損控除 雑損控除の適用を認められる
親族に係る総所得金額等
48万円 58万円
 
特定親族特別控除の創設

 特定親族特別控除が創設され、生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等(配偶者及び青色事業専従者等を除く。)で、前年の合計所得金額が58万円超123万円以下の方がいる場合に所得控除の適用が受けられるようになります。
 控除額は、当該親族の合計所得金額に応じて逓減(徐々に減少)します。適用される控除額は以下の表を参照してください。
(※)配偶者特別控除と同様に、一部控除を認めるものであり、控除対象扶養親族には該当しません。

特定親族の
合計所得金額
特定親族特別控除額
58万円超95万円以下 45万円
95万円超100万円以下 41万円
100万円超105万円以下 31万円
105万円超110万円以下 21万円
110万円超115万円以下 11万円
115万円超120万円以下 6万円
120万円超123万円以下 3万円

 

 

子育て世帯等に対する住宅ローン控除の改正

令和7年度から適用された税制改正内容について、適用期間が延長となりました。


子育て世帯への支援強化の必要性や、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ改正が行われました。

 「令和7年度改正のポイント」

(1)借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯が令和67年に入居する場合には、令和4・5年入居の場合の水準(認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)を維持する。

(2)新築住宅の床面積要件を40平方メートル以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る。)について、建築確認の期限を令和67年12月31日(改正前:令和56年12月31日)に延長する。

 

※ 住宅ローン控除について詳しくは、国土交通省ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

※ 適用については、従来どおり確定申告(2年目以降は年末調整でも可)で行うこととなりますので、詳しくはお近くの税務署でお尋ね下さい。