最近全国の自治体から、お金がないとか予算が組めないとかいう声がよく聞かれますが、どうしてそんなに急にお金が減ってしまったのか、非常事態に備えて少しずつ貯めてきた貯金がなぜ急になくなってしまったのでしょうか。
皆さんも「三位一体」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。これは「国庫補助金の廃止削減」「税源移譲」「地方交付税の見直し」の三つの改革を同時に行う国の政策で「三位一体の改革」と称されます。そのうち「地方交付税の見直し」とは、交付税総額の削減を主な目的としており、このことにより国の財政再建を図ろうとするものです。
平成16年1月、国の地方財政計画が示されました。この計画について各地方公共団体から大きな不満が吹き出ました。「交付税等が大幅に減って予算が組めない」という悲鳴です。16年度の地方財政計画では、地方交付税(注1)総額は1.2兆円、6.5%の減です。ただし、これと合わせて臨時財政対策債(注2)が1.7兆円、28.6%減となっています。この合計が2.9兆円、12.0%減となっています。この点について不満が出たのです。
交付税総額は、平成15年度も1.5兆円、7.5%減っています。交付税だけを見ると16年度の方が減り方が少ないのですが、交付税総額と臨時財政対策債合計が減るのは初めてのことです。
倉吉市も、平成16年度に地方交付税と臨時財政対策債の合計額が大きく減額しました。平成17年度については現計予算のベースですが、前年度と同様大きな減額となっています(図1)。平成16年度にさまざまな歳出削減策を打ち出した背景の一つには、国のこのような財政再建策がありました。
平成17年度予算についても交付税等の大幅な減額などによって大変厳しい予算編成となり、基金(貯金)を取崩さざるを得ませんでした(図2)。
三位一体の改革は、平成18年度まで続きます。それ以降は具体的な数値は示されていませんが、国の財政健全化の方針は継続するものと思われますので、厳しい予算編成も続く見込です。今後とも歳入の適正化、歳出の削減を常に念頭におき、予算の編成・執行を行ってまいります。ご理解いただきますようよろしくお願いします。
(注1)
地方交付税
地方団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるような財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば、国が地方に代わって徴収する地方税です。
- 地方交付税率及び対象税目・・・所得税・酒税の32%、法人税の35.8%、
消費税の29.5%たばこ税の25%
- 種類・・・普通交付税94%、特別交付税6%
- 普通交付税額 =(基準財政需要額-基準財政収入額) = 財源不足額
- 基準財政需要額=単位費用(法定)×測定単位(国調人口等)×補正係数(寒冷補正等)
- 基準財政収入額=標準的税収入見込額×基準税率(75%)
(注2)
臨時財政対策債
平成12年度までは、財源不足を交付税特別会計借入金により措置し、その償還を国と地方が折半して負担する措置を講じてきました。平成13年度の地方財政対策においては、国負担分については、国の一般会計からの加算により、地方負担分については、地方財政法第5条の特例となる地方債により補てん措置を講じることとしました。今後平成18年度までの間実施されます。