更新日:2023年3月30日

 うららかな陽気に包まれて暮らす日々、拡大し続ける新型コロナウイルス(オミクロン)感染症で私たちの生活もまだまだ不安です。
 ワクチン接種も進んでいる中、安心して過ごす状況ではありませんが、県立美術館の建設工事が着工し、完成を待ちわびています。
 そして、その前に広がる飛鳥時代の創建とされる山陰最古級の寺院「史跡 大御堂廃寺跡」の整備も行われます。美術館と史跡がマッチし、相乗効果により、私たちの生活の中にも取り入れ、心も豊かになることを願っています。

 私は50年前に「伯耆国分寺」「伯耆国分尼寺(法華寺畑遺跡)」の近くに嫁いで来ました。
 その頃には、発掘調査は終わり、発掘後には栗石が敷き詰められていました。
 今は柵列や実物大に復元された西門、近くには復元模型があり、当時の様子が想像できる状況となっています。
 史跡に興味はほとんどありませんでしたが、わが家の畑から焼けたまっ黒な米の塊や瓦の破片が出ており、自然と興味が湧いたものでした。
 生涯学習講座や公民館研究指定事業で、社の文化や歴史を学ぶ機会が多くあり、そのたびに驚きや感激がありました。そして、発掘に携わられた多くの方々、その経過をまとめ、しっかりとした資料として残されていくことの大切さを感じています。

 教育長のことばの中に「これら文化財が地域振興、観光、行政、社会教育と協働しながら歴史的資源の適切な保存活用を行い、その魅力を高められるような取り組みを進める。」とあります。
 今を生きる私たちには過去があり、そして未来があります。こうした歴史的な資料で学び、現地に出向き、人々の生活(社会)に思いを馳せてみることが大切であると思います。

 例えば、伯耆国分寺跡に行き、そこから打吹山や倉吉の街を一望すると、その時代に、現在の県庁の役割を果たしていたかと思うと、理解できる場所であり、人々の生活を良くしようと働いていたことだと思います。
 これは一例ですが、数ある文化財を幼い頃から直接触れ、その年齢に合ったもので学び、ひとりでも多くの心をつかみ、先人の築き守り続けた努力により、今の時代が成り立っていることを感じてほしいと思います。
 小さい時には、漫画やアニメで面白さを感じながら、歴史等に触れ、現地に行って楽しんだりと、ストーリー性を持った工夫をしていく事が必要であると思います。
 幼児期、小学生、中学生と成長に合わせた学びにより、ふるさとをより深く知ることができると思います。

 また、各コミュニティセンターでも、地域の文化財について学ぶ取り組みは続けられていますが、他地域との文化財交流を取り入れていくことも大切です。
 しっかりとまとめられた資料や冊子は貴重な宝物です。
 それをどう市民に返していき、活用していくのかが、最も重要と考えています。
『この町が歴史ある素晴らしい町である事を後世に引き継がれることを願って。』

令和4年4月27日

倉吉市教育委員会教育長職務代理 福井 真喜代