更新日:2024年8月21日

思いつくまま6

 

孫と駄菓子と金融教育

 今年の夏休みも孫達が帰省してきました。博物館で昆虫や草花を見たり、星空観察に行ったりお金をかけずに楽しめるイベントが数多く開催され、本当に助かっています。企画実行していただいている倉吉自然科学研究会の先生方にお礼を申しあげます。

 さて、毎年孫達が帰省すると駄菓子屋に連れて行くのですが、いつもだと一人10個までとか数を決めて選ばせ、当然支払いは祖父である私が行っていました。今年、7歳と5歳になる孫は、自分の財布を買ってもらっていて、自分のお金で買い物を始めたのです。一つとっては値段と財布を見比べ籠に入れ、行ったり来たり。一度籠に入れたお菓子を戻し、別のお菓子を選んでみたり、とても慎重かつ真剣な買い物時間を過ごしていました。そして代金を払い終えると、改めてお菓子と財布のお金とを確認し、とても満足した笑顔で買い物体験を一生懸命祖父母や親に話してくれました。

 お金の価値、お菓子の価値について本当に理解しているわけではないのでしょうが、小学校2年生の孫は算数の学びを思い出し、5歳の孫は姉に確認しながら見ようみまねで買い物をやり遂げました。自分のお金で自ら選び代金を払う初めての「お買い物」は、夏休みの一番の貴重な体験となったことだと思います。これこそが、主体的・対話的・深い学びなのだと妙に感心してしまいました。子どもながらに、お金は「使うと減る」ということを学んだ金融教育第1歩の出来事でした。

 政府は、2022年度から高校で金融教育をスタートさせ、2024年4月5日付けで金融庁は「国民の金融リテラシー向上に向けて官民でつくる金融経済推進機構を設立した」と発表しました。今後企業・学校に講師を派遣するなどの事業を始めるそうです。2024年6月29日の日本経済新聞は、「マネーのまなび」の欄で「お金の教育、まず現金で」を掲載しています。金融教育の第1歩は、実際にお金を使い現金がなくなることを経験することだそうです。金融リテラシーとは、経済的に自立しより良い生活を送るために最低限身につけておきたいお金に関する知識や判断力のことだと言われています。

 子ども達の年齢に応じた金融教育は、学校だけでは学べない教育です。子ども達が将来経済的に自立し、より良い暮らしができるよう、家庭でできることから始めてみませんか。

 

令和6年8月21日 倉吉市教育委員会教育委員 田民 義和