更新日:2024年10月23日

心フルフル「くらよし女子駅伝」

 

 さわやかな秋晴れ。もうすぐスタート10時。「あそこならよく見えるかもしれない」とスーパーの駐車場に向かう。すると、たくさんの人たちが集まってきていた。ザワザワとする様子。交通規制で長く並んだ車。行き来するたくさんの警備員。すべてが非日常的な光景だった。

 そんなことを感じているうちに、「パパパパーン!」と旗火が上がり、たくさん浮かんでいる丸い雲とは違う、リボンのような白い煙が青い空に上がった。それを見て、ますます気持ちが高揚してきた。

 暑くてスーパーの自販機の影に隠れていた人たちが、沿道に出てきた。そろそろ選手の姿が見えるらしい。まず「先導」と書かれたパトカーがやってきて、その後じらすような数分間…

 「あ、来た!」誰かが言った。目をこらしてジッと見ていると、2台の白バイらしきライトが!そして、うじゃうじゃとかえるの卵のようなかたまりが見えてきた。慌てて連写を数枚。卵はだんだんに大きくなり、人の姿になった。

 今日は最高にいい天気!気温も高くなるだろう。陸上競技場からスーパーまでの1㎞程。選手たちの顔はすでに赤く、大粒の汗が流れているのがわかる。

 「がんばれぇ。がんばれぇ!」私にできるのは声を限りの応援だけ。手も腫れる程たたいた。

 スタート直後はかたまってやってくる選手たち。応援も一瞬だが、ゴール直前はみんなバラバラ。ひとり旅は不安な人も多いだろう。そのひとりひとりに手をたたき、声援を送る。「ハアハア」と聞こえてくる息づかい。私の声など聞こえていないのかもしれないが、中にはハッと顔を上げる子もいた。

 長距離を走るのは苦しいだろう。それなのに何故あえて走るんだろう。スポーツが苦手な私は思うが、心震え確実に感動している。さあ、この後の男子(日本海駅伝)も、とても楽しみだ。

 毎年駅伝をしているのは知っていたが、出不精な私は応援に出かけていくなど面倒くさいと思っていた。でも、今年はおびき寄せられてしまった。前日の開会式で見た、日本各地からやってきた若きアスリートたちのオーラに。「遠くから倉吉にやってきてくれたんだ。これは見に行かねば」と。

 感動を知ってしまった。こんな感動を知ってしまった私は、これから毎年応援に行くことになるだろう。

 今まで知らなかった世界の中に、たくさんの感動があふれている。皆さんも、興味のないエリアへ敢えて踏み込んではどうだろう。

 最後に、女子のレースの傍らで落ちているごみを拾ってくれていた西脇工の生徒に、大きな感謝を伝えたい。

 

令和6年10月23日 倉吉市教育委員会教育委員 伊木 香代